ご挨拶

 2020年4月から、村勢敏郎前代表理事の後任として、公益財団法人冲中記念成人病研究所(以下、冲研)の代表理事を拝命しました大内でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。私は2013年4月から7年間、国家公務員共済組合連合会虎の門病院の第八代病院長として勤務してまいりましたが、2020年3月に病院長職を退任したのちに冲研の代表理事に就任いたしました。病院長時代には、冲研の業務執行理事として研究所の運営に関わりましたが、今後は代表理事として、冲研のさらなる発展に貢献したいと存じております。

 ご存知のように、冲研は、虎の門病院第二代病院長を勤めた冲中重雄先生が1970年に文化勲章を授与されたことを契機に、わが国の臨床医学研究の発展を目的として、1973年に財団法人として設立された研究所であります。冲中先生が、早くから基幹病院における臨床研究の重要性を提唱されていたことはよく知られていますが、その精神は、「書かれた医学は過去の医学である、目前に悩む患者の中に明日の医学の教科書の中身がある」という、先生の言葉によく表されています。すなわち、日常臨床の中で発生するさまざまな疑問を追及、その本態を解明し、その成果を再び臨床の場に還元していくという絶え間ない作業が臨床医学を発展させ、そして国民の健康維持に寄与するという強い信念であります。冲研は、まさにこの目的のために設立されたと理解しております。

 冲研は、設立の経緯から、虎の門病院と密接な関係を持ち、虎の門病院内に事務室、研究施設を持つとともに、研究員を虎の門病院から受け入れてまいりました。2011年の公益財団法人化以降は、門戸を広げ、外部の施設から研究員を受け入れるとともに、全国の臨床研究者に研究助成を行い、さらに生活習慣病をはじめとする多くの領域の調査研究、出版物の刊行、講演会の開催等の事業を行っております。2019年5月の虎の門病院の新築移転とともに、事務室を新病院8Fに置き、主な研究機能を梶ヶ谷の分院敷地内に移転し、研究機能のさらなる充実をはかっております。

 近年、医学はめざましい勢いで発展し、多くの疾患の原因が遺伝子レベルで解明されるとともに、細胞療法、遺伝子治療、分子標的薬の開発など、従来にはなかった新しい治療あるいは予防法が開発されています。さらに、AIなどの新しいテクノロジーが医学研究に応用され、臨床研究のやり方も大きく変わろうとしています。冲研は、医学研究における、このような新しい潮流を支え、わが国の医学研究のさらなる発展に貢献してまいりたいと存じております。

 最後になりましたが、冲研のこれまでの発展は、役員の方々、協賛企業や一般篤志家の方々からの暖かいご支援によるものであり、ここに深く感謝申し上げるとともに、今後とも、皆様方の一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げて、私のご挨拶といたします。

代表理事  村勢 敏郎

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