平成２８年１月５日

新年のご挨拶

研究所長　小林　哲郎

　明けましておめでとうございます。虎の門病院の皆様ならびにご支援いただきました皆様に新年のご挨拶を申し上げます。本年は、虎の門病院・冲中記念成人病研究所新築工事の着工が予定されており、希望あふれる年となりました。この一年が明るく実りある年になることを念じ、皆様方の一層のご発展をお祈り申し上げます。

　さて、当研究所は１９７３年、虎の門病院第二代院長の冲中重雄先生の「病める者の立場に常に立ち、最善で最新の医療を提供したい」という熱い思いによってこの地に設立され、本年で４３年目を迎えます。設立以来、虎の門病院と緊密な関係を保ちながら、臨床の場で生じた医学的課題について掘り下げて研究し、さらには独自の基礎的な研究も加えて活動してきました。そして、これらの研究成果は虎の門病院における医療レベルの向上に大きく貢献してきました。２０１１年４月には、内閣府を所管とする公益財団法人として新たな一歩を踏み出し、現在は全国を対象に研究費の助成をおこなうなど、医学・医療界に広く貢献しつつあります。今後も患者さんの治療に役立つ研究ができるよう研究所の更なる発展を目指して、職員一同なお一層努力してゆく所存です。

　最後に、当研究所にこれまで寄せられましたご支援の数々を感謝申し上げますとともに、今後とも各方面の皆様方のさらなるご理解とご援助をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせて頂きます。

平成２８年度　研究助成（下期募集分）の決定

冲中記念成人病研究所　助成事業として公募しておりました研究助成の申請が、今回は５４機関７１件ありました。うち研究課題等審査した結果、次の１１件に助成することが決定しました。

小松　周平
京都府立医科大学
消化器外科
血中の分泌型癌抑制microRNAを指標とした胃癌の新たな診断・核酸治療法の開発

島村　宗尚
大阪大学大学院　
医学系研究科　健康発達医学講座
RANKL部分ペプチドを用いた脳梗塞後の新規炎症制御療法の開発

田宮　寛之
東京大学医学部附属病院
老年病科
老年疾患進展における概日リズム障害のモデル化

中川　勇人
東京大学医学部附属病院
消化器内科
新規肝外胆管癌発症システムの構築と分子発生機序解明

仲矢　丈雄
自治医科大学
病理診断部　病理診断科
大腸癌の病的蛋白間相互作用の解明とその阻害による癌選択的抑制治療の開発

中山　敦子
東京大学医学部附属病院
循環器内科
腹部大動脈瘤石灰化率のスコア化と瘤径拡大速度の予測式についての検討

西本　紘嗣郎
国家公務員共済組合連合会　立川病院
泌尿器科
アルドステロン産生腺腫に判明したイオンチャネル・ポンプ遺伝子体細胞変異が腺腫　形成に関与する分子基盤の解明

早河　翼
東京大学医学部附属病院
消化器内科
胃癌起源細胞の同定と治療応用

筆宝　義隆
千葉県がんセンター研究所
発がん制御研究部
オルガノイドを用いた胆道系悪性腫瘍の包括的モデルの確立

三瀬　広記
岡山大学病院
腎免疫内分泌代謝内科学
IgA腎症合併及び非合併糖尿病性腎症を鑑別する臨床因子及び生命・腎予後の比較検討

宮内　将
東京大学医学部附属病院
血液・腫瘍内科
人工多能性幹細胞を用いた慢性骨髄単球性白血病の病態解明と治療法の探索

平成２８年度　科学研究費補助金（奨励研究）の申請に伴う研究計画書の提出

今回の申請状況は、新規申請２件となっております。
日本学術振興会での審査結果は、来年４月公表される予定です。

研究活動における不正行為防止への取組強化について

平成２６年８月に文部科学省が制定した「研究活動における不正行為の防止に関するガイドライン」の趣旨は、従来、研究活動の不正行為の防止は研究者個人に委ねられていましたが、今後は研究者自身はもとより科学コミュニティーの規律を基本としつつも、研究機関が組織を挙げて不正行為を発生させない体制づくりを求めております。当研究所もガイドラインに則した規程および関連する規約類を制定し、引続きコンプライアンスを重視した運営を推進いたします。

寄付ご芳名

研究所ニュース４１８号以後、下記の方よりご寄付がありました。

植田　朋子　殿

岡田　純子　殿

貴重なご寄付につきましては、ご芳志に添うよう医学研究のため役立たせていただきます。誠にありがとうございました。
みなさまのご健勝、ご多幸を心からお祈り申し上げます。

当研究所は、第２代虎の門病院長、故）冲中重雄の文化勲章受章（昭和４５年１１月）を記念し、政・財界の支援を得て昭和４８年５月設立いたしました。虎の門病院と密接な関係のもと、成人病（生活習慣病）の臨床的及び基礎的研究を行っております。
研究実績を臨床の場に還元できますよう一層努力してまいる所存でございます。
今後とも皆様のご支援ご指導をよろしくお願い申し上げます。