今月の研究者

舘野 由美子

舘野 由美子

【キャリア】
早稲田大学第一文学部心理学専修を卒業後,同大学院修士課程,博士課程と進学する傍ら,虎の門病院分院精神科で非常勤の心理士として勤務を開始しました。大学では発達心理学のゼミに所属して母子関係の愛着理論について学び,乳幼児期および青年期の愛着の研究をおこないました。虎の門病院では当時精神科の部長をされていた金村元先生のもと,入院されている患者さんと一緒にラジオ体操やバレーボール,合唱などをし,患者さんから聞かせていただくお話に,人間のこころの奥深さを感じながら,心理検査や精神分析などの勉強を重ねました。
大学院の修士課程を卒業したころに,第1回の臨床心理士資格認定試験がおこなわれ,臨床心理士の資格を取得,その後,精神科病院,精神科クリニック,私立幼稚園から高校までのスクールカウンセラーなどで臨床経験を積みました。病院やクリニックでは主に気分障害や適応障害,パーソナリティ障害,発達障害の成人の患者さんに心理検査や心理療法をおこない,学校では児童生徒へのカウンセリングのほかに,ストレスマネジメントの授業をおこなったり,保護者の相談に応じたりしていました。
2011年度より虎の門病院心理部に常勤臨床心理士として勤務を開始しました。それに伴い,精神科の患者さんだけではなく,がん患者さんのお話を伺うようになり,身体疾患に伴うこころの変化についても事例研究をおこなうようになりました。
2015年度から2018年度にかけては,科学研究費助成事業(基盤研究C)の助成を受け,「個別心理療法とリワークプログラムの協同による復職支援の新しい心理療法モデルの確立」をおこなっています。

【研究分野】
 虎の門病院には,職場で不適応を起こし,心身の不調を訴えて精神科を受診し,精神科診断および治療を受けた後,心理療法を受けながら職場復帰を目指す患者さんが多数いらっしゃいます。現在,復職支援の過程では,リワークプログラムの活用が推奨され,その有効性は複数報告されています。しかし,一度復職した方が再度休職してしまうという再休職率の高さは依然として問題となっており,産業領域で解決すべき大きな課題として挙げられています。
 虎の門病院の心理部では,「復職支援の心理療法」の重要性に着目し,2014年度よりチームを組んで研究を開始しました。復職支援の心理療法過程を詳細に分析し,職場不適応要因および職場再適応要因を特定し,休職を繰り返す方たちの特徴を明らかにして,再休職予防に有効な取り組みについて提案をおこなっています。
 今後,働き方改革における「メンタルヘルス不調をかかえた労働者に対する治療と就労の両立支援事業」の展開に伴い,治療を受けながら就労を継続する患者さんは益々増えていくものと思われます。休職から復職,そして復職後の安定した就労の再確立までを心理療法で支援していくことの有効性について,さらに復職過程における産業保健スタッフと医療者との協調や連携について研究を継続する計画です。

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