今月の研究者

井田 雅祥

井田 雅祥

1)キャリア(研究、臨床)
金沢大学医学部を卒業後、金沢大学大学院医学研究科に進みました。大学院では、生化学教室(米山良昌教授、友田燁夫講師)において人体におけるメトヘモグロビンの還元機構について研究し、医学博士の学位を取得。1980年に虎の門病院へ内科病棟医(内科研修医)として入職後は、内科の各科、外科(消化器外科)、麻酔科、放射線診断科、神経耳科などでの研修を経てレジデントから神経内科に進み、中枢神経疾患から末梢神経、骨格筋疾患に至るまで神経疾患の全領域にわたる経験を積んでまいりました。当時、分院神経内科は田辺等部長と後任の高木昭夫部長の下で神経筋疾患の研究が盛んに行われていました。そして筋ジストロフィーをはじめとする神経筋疾患については、神奈川県在住のほとんどの患者さんを県や各市町村が主催する「筋ジス検診会」として検診会あるいは訪問で診察しており、そこで小児から高齢者に至るまで多くの神経筋疾患を経験することができました。
研究領域としては、小児頭痛と脳波異常、脊髄小脳変性症の生化学、筋ジストロフィーのモデルであるmdxマウスへの筋移植(厚労科研:高木昭夫班)、変性疾患におけるMRI画像、頸動脈エコーなどの分野があります。
2003年にリハビリテーション科の創設を拝命しました。その後は、リハビリにおける危機管理について学会発表や共著書の執筆も行ってきました。
2006年、国家公務員共済組合連合会病院群(33病院)の共同施設としてシミュレーション・ラボセンターが開設されました。この機関は、当時虎の門病院副院長の中西成元先生が山口徹顧問(当時、院長)および連合会本部の支援を得て初代センター長に就任し、海外にも知られるシミュレーション・センターに成長しました。2010年度に厚生労働省科学研究費補助金(厚労科研)にシミュレーションをテーマとする募集枠が新設されたことにより、国内の先進的なシミュレーション教育のリーダーの先生方とチームを組んで2010年~2014年まで2期4年間、研究代表者として研究をまとめました。今後、シミュレーション・ラボセンターは新病院の開設にともない分院から新病院へ移転しますが、厚労科研の研究成果が新ラボセンターの教育システムに生かされることになります。

2)研究分野
リハビリテ―ション医学、シミュレーション教育、臨床神経学

3)今後の抱負、アピール
 近年は、リハビリテ―ション部の理学療法士、作業療法士などの学会発表や論文発表が増加しており、その指導にも関わっています。コメディカルの活躍は病院の姿勢の反映として望ましいことであり、継続して支援すべきと考えます。また、2019年5月に虎の門病院の新病院に移ることが決まっているシミュレーション・ラボセンターは、国際化や災害対応の使命も負っていることから、シミュレーション教育関係において研修の充実と教育システムの構築を進めるとともに教育の効果を検証したいと考えています。

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