今月の研究者

福澤 圭

福澤 圭

私は2007年に茨城県立医療大学保健健康学部放射線技術科学科を卒業後、診療放射線技師として虎の門病院放射線部に入職いたしました。大学2年時の授業で初めてMRI (磁気共鳴画像)装置に触れ、牛脂などの物質を脂肪抑制法などの各種シーケンスで撮影し信号強度の変化をグラフ化するというシンプルな基礎実験でしたが、放射線を使用せずに多様なコントラストの画像が得られ、パラメーターによって任意の組織の信号を強調または抑制できるMRIは、まさに魔法のようだと感じ大変興味を持ちました。当時、その実習を外部講師として担当されていたのが高橋順士技師(現分院放射線部科長)であり、入職後も様々なことをご指導頂いております。日常業務においては、MRIをはじめ、CTや血管造影検査等をローテーションで担当し、2012年に当院初の3テスラMRI装置が導入されてからは、約5年間にわたり専従的に担当させて頂き、高磁場装置の長所短所を実感しながら、装置の性能を引き出し臨床各科の先生方に満足して頂ける画像の提供を目指して努力して参りました。
研究面ではMRIによる画像診断に関して、poor studyを減らす等の日常診療での問題点の解決、新しいアプリケーションの臨床応用と評価、再現性のある定量値のための前臨床実験等をテーマに学会発表と論文化に取り組んでおります。このような研究を進めていく中で、小久保宇先生(放射線診断科部長)、斉藤聡先生(肝臓科医長)、大本由樹先生(健康管理センター)、新津理英子先生(循環器センター)等をはじめとする各診療科の先生方には、多くのアドバイスを頂き大変感謝しております。

【今後の抱負、アピール】
近年の画像診断ではQIBA(Quantitative Imaging Biomarkers Alliance)という考えが注目されています。これは画像診断で提供される種々の定量的な計測値等をバイオマーカーと位置付けるための活動で、具体的には検査方法の標準化や再現性の向上、多施設多機種間での定量値の調和などが必要とされています。個人的にもQIBAのような活動が広がればMRI検査の情報量が増えて価値が増すと考えており、新たな研究テーマとして取り組んでおります。昨年度、沖中記念成人病研究所より援助頂きました研究助成によって脂肪肝の模型を作成し、肝臓脂肪定量のための多施設共同研究を実現することが出来ました。今後も、臨床の先生方から必要とされるMRI検査を目指し研究を継続していきたいと考えております。

【その他】
受賞:
2015年 第71回 日本放射線技術学会総会 銀賞
平成29年度 日本放射線技術学会 研究奨励賞(MR)

発表・論文

【発表・論文】

1.Hayashi T, Fukuzawa K, Kondo H, Onodera H, Tojo R, Yano S, Miyati T, Kotoku J, Okamoto T, Toyoda K, Oba H. Influence of Gd-EOB-DTPA on T1 dependence of the proton density fat fraction using magnetic resonance spectroscopy. Radiol Phys Technol. 11(2): 262-69, 2018.

2.Hayashi T, Fukuzawa K, Yamazaki H, Konno T, Miyati T, Kotoku J, Oba H, Kondo H, Toyoda K, Saitoh S. Multicenter, multivendor phantom study to validate proton density fat fraction and T2* values calculated using vendor-provided 6-point DIXON methods. Clin Imaging. 51:38-42, 2018.

3.Fukuzawa K, Hayashi T, Takahashi J, Yoshihara C, Tano M, Kotoku J, Saitoh S. Evaluation of six-point modified Dixon and magnetic resonance spectroscopy for fat quantification: a fat-water-iron phantom study. Radiol Phys Technol. 10: 349-58, 2017

4.Hayashi T, Saitoh S, Fukuzawa K, Tsuji Y, Takahashi J, Kawamura Y, Akuta N, Kobayashi M, Ikeda K, Fujii T, Miyati T, Kumada H. Noninvasive Assessment of Advanced Fibrosis Based on Hepatic Volume in Patients with Nonalcoholic Fatty Liver Disease. Gut Liver 11:674–683, 2017

5.Fukuzawa K, Ishimura R, Yoshida T, Yoshihara C, Takahashi J, Tano M. Patient factors and electrode placement factors that cause 3T-CMR to poorly synchronize with waveforms of vectorcardiography. In: Proceedings of the 24th annual meeting of ISMRM, Singapore; 2016. No2621.

6.Fukuzawa K, Ishimura R, Yoshida T, Yoshihara C, Takahashi J, Tano M. Electrode placement positions for vectorcardiography to control T waves and high R waves in 3T CMR. In: Proceedings of the 24th annual meeting of ISMRM, Singapore; 2016. No2624.

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