今月の研究者

渡部 紫

渡部 紫

1)キャリア・研究分野
2007年、佐賀大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院にて初期臨床研修終了後、2009年に東京大学医学部整形外科入局。様々な病院の整形外科をローテーションし、 2014年に日本整形外科学会専門医資格取得。虎の門病医院ローテーションの際には、肝硬変合併症例に対する整形外科手術の際に要する輸血量に関する臨床研究論文の発表をさせていただきました。
2013年から2018年までは夫の海外勤務のためにロンドンに滞在しましたが、この間も研究および臨床活動を可能な限り継続しておりました。特に2015年にはBarts and The London, Queen Mary University of Londonにて公衆衛生修士(MPH)課程を修了し、2016年からはUniversity College London Hospital, Orthopaedics and Trauma Department, Hip and Knee Reconstruction Teamに参加しておりました(Honorary observership)。この間、頭部外傷の神経変性疾患発症リスクに関するメタアナリシスをEuropean Journal of Epidemiologyに発表しました(Watanabe & Watanabe, 2017)。
帰国後、2018年から虎の門病院整形外科にて勤務を開始。研究活動としては,冲中記念成人病研究所および虎の門病院という、比較的特殊な症例が詳細な検査値と共に多数集積されているという貴重な環境を生かし,人工関節置換術関連の臨床研究を継続させていただいております(e.g., Watanabe et al., 2019A, Watanabe et al., 2019B, Watanabe et al., 2018)。現在は変形性股関節症・膝関節症に対する人工関節置換術手術を行う一方、研究分野では人工関節インプラントが体外からの刺激と共振した結果、骨折が生じうる可能性について、シミュレーション等を用いて研究を進めています(2020年科研費・若手研究:低周波治療器による外部刺激と人工股関節ステムとの共振の可能性について)。
資格:日本整形外科学会専門医・指導医。日本人工関節学会。日本股関節学会。関東整形災害外科学会。日本リウマチの外科学会。日本レンスリング協会医科学委員。2020東京オリンピック強化委員(医科学領域)。日本医師会。

3) 今後の抱負
現時点では人工関節関連の臨床研究・基礎研究がメインテーマですが、今後は公衆衛生と整形外科的の両者を絡めた臨床研究を行っていきたいと思います。例えば、整形外科は女性医師の割合が低いと言われていますが、比較的リベラルなイメージのあるロンドンにおいてもそれは同様でした。そのボトルネックになるものは何か、すでに海外では論文が発表されていますが、日本国内の現状はどうなのかなどにも興味を持っています。ちなみに私の場合は紆余曲折を経ながらも現在まで臨床・研究を進めて来られたのはその時、その時々に指導をしてくださった諸先輩方の理解と応援があったからに他なりません。自身の恵まれた環境に感謝しつつ、今後はバラエティに富んだ基礎・臨床研究を粛々と行なっていきたいと思います。

発表・論文

4)業績

・Watanabe Y., Yamamoto S., Isawa K., et al. Qualitative and quantitative comparisons between acromegalic and non-acromegalic patients with direct anterior approach total hip arthroplasty. Orthopaedic Proceedings. 101-B 92, 2019A.

・Watanabe Y., Yamamoto S., Isawa K., et al. Functional prognosis of total knee arthroplasty in osteoporotic elderly patients. Orthopaedic Proceedings. 101-B 138, 2019B.

・Watanabe Y, Watanabe T. Meta-analytic evaluation of the association between head injury and risk of amyotrophic lateral sclerosis. 2017. 32(10), 867–879. European Journal of Epidemiology.

・Watanabe Y, Shiono H, Murakami M, Yamamoto S. The effects of the pre-operative condition of the liver on the post operative demand of blood transfusions. 2013. 44(3), 95–99. Kanto Journal of Orthopaedics and Traumatology

・Watanabe Y, Yamamoto S, Isawa K, Shiono H, Yamada N, Hirota Y. Qualitative and Quantitative Comparisons Between Acromegalic and Non-acromegalic Patients with Direct Anterior Approach THA. The 31st. Annual Congress of International Society for Technology in Arthroplasty (ISTA) in London, UK. 2018.

・Watanabe Y, Yamamoto S, Isawa K, Yamada N, Hirota Y. Functional Prognosis of Total Knee Arthroplasty in Osteoporotic Elderly Patients. The 31st. Annual Congress of International Society for Technology in Arthroplasty (ISTA) in London, UK. 2018.

・Watanabe Y, Shiono H, Murakami M, Yamamoto S. The effects of the pre-operative condition of the liver on the post-operative demand of blood transfusions. The 52nd Annual Meeting of the Kanto Society of Orthopaedics and Traumatology 2012 in Yokohama, Japan.

・Watanabe Y et al., Report on results of ankle arthrodesis in rheumatoid arthritis. The 42nd Annual Meeting of the Society for Rheumatism and Joint Surgery 2013 in Nagoya, Japan.

・渡部 紫 他 A case of factor-XIII-deficiency-induced massive haemorrhage during direct anterior approach in total hip arthroplasty. 第52回 日本人工関節学会 学術集会. 京都.2022.

・渡部 紫他 Successful Management of Periprosthetic Hip Joint Infection of Filamentous Fungi. 第47回 日本股関節学会 学術集会. 三重. 2020.

・渡部 紫他 低周波治療器による外部刺激とステムとの共振の可能性について.
第50回 日本人工関節学会. 福岡. 2020.

・渡部 紫他 頭部外傷によるALS発症リスクのメタアナリシス的評価:逆因果関係の可能性. 第2回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会, 仙台. 2018.

・7章 股関節. シーネ・ギプス固定の基本 虎の巻.
日本医事新報社143-161, 2020

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